基本子音の発音と文字表記
1.さ行音
さ行音は、「あ」行と「い」行 /sa/、/si/は日本語共通語とほぼ同じで「さ」「し」のように発音します。/s/と/u/は「そぅ」 「そぅ」は、sの音に唇を丸めた「う」の音をつけて発音します。
例:そぅー(潮)
まーそぅ(塩)
そぅでぃ(袖)
2.ざ行音
ざ行音は、「あ」と組み合わせると、「じゃ([ʑa]」のようになり、[za]という音はありません。「い」「う」と組み合わさると「じゅ([ʑu]のように発音し、[zu]もありません。/ɨ/とだけは組み合わせが可能で、[zɨ]と発音されます。[zɨ]は「ず」と表記します。
例:ずー(土地)
3./s/と/ɨ/
/s/と/ɨ/は、sの音に唇をひいた「う」の音をつけて発音します。ひらがなでは「す」で書いて、「そぅ」と区別します。人によってはこの音を「すぃ」と書く人もいます。その場合「そぅ」は「すぅ」と書いて区別します。
例:すー(酢)
4.た行音
た行音の /t/は、/a/「あ」との組み合わせ「た」/ta/は、日本語共通語と同じように発音します。/u/と組み合わせたときは、/tu/「とぅ」と発音します。唇を丸めた「う」の音を付けて英語の前置詞のtoのように発音します。
例:ひとぅ(人)
5.ti
/t/と/i/「い」を組み合わせた/ti/は、「ち」ではなく、英語のteaのように発音します。/ti/「てぃ」と表記します。
例:ひてぃつ(一つ)
例:てぃー(手)
6.だ行音
だ行音の/d/は/a/と組み合わせた場合は日本語共通語の/da/「だ」とほぼ同じです。/i/「い」、/u/「う」とと組み合わせると、/di/「でぃ」、/du/「どぅ」となり、「とぅ」、「てぃ」の有声音になります。
例:でぃー(杖)
例:みどぅん(女)
7.は行音
/h/は/a/、/i/との組み合わせは、日本語共通語/ha/「は」、/hi/「ひ」とほぼ同じ、/u/との組み合わせは、共通語と異なり英語のwhoのように上下の唇をつけずに発音する。人によっては、共通のように両唇をつけた[ɸu]で発音する人もいます。「ほぅ」のように表記します。/f/の音と区別します。
例:ほぅに(骨)
例:ほぅなん(大波、津波)
8 fの発音
池間方言には日本語共通語になりfの発音が存在します。これはfのように上の歯で、下の唇を噛んで発音します。/f/は/a/、/i/、/u/と組み合わされます。/fa/「ふぁ」、/fi/「ふぃ」、/fu/「ふ」と表記します。
例:ふぁうむぬ(食べ物)
ふー(来る)
ふつ(吹く)
9.撥音「ん」
「ん」は、語末に来るときは、共通語と同じ発音です。共通語と違って、語頭に立つことがあります。t,d,nの前では[n]、p,b,mの前では[m]、k,gの前では[ŋ]で発音します。
例:ばんまい[bammai](私も)
ばんとぅ[bantu](私と)
んてぃ[nti:](満ちる)
んみゃ[mmja](もう)
んば[mba](いやだ)
んぎゃな[ŋgjana](苦菜)
10.撥音「ん゜」 「ん゜」
撥音「ん゜」 「ん゜」は、mのように唇をつけたり、nのように舌先を歯の後ろにつけて、声を立てずに、鼻息だけで発音します。「ん゜」のあとにmが来る場合は、mを鼻息だけで発音します。
例: ん゜む
「ん゜」のあとにnが来る場合は、nを鼻息だけで発音します。
例 ん゜ぬ(昨日)
ん゜な(綱)
11.促音「っ」
促音「っ」は、子音を二つ重ねて、長めに発音するときに使います。「っ」が単語の途中にある場合は、共通語と同じ発音です。
例: まっふぁ(枕)
12.「っ」が単語の最初にある場合
「っ」が単語の最初にある場合は、「っ」のあとの子音を重複し、長めに発音します。“っふぁ”であれば下唇を噛み、fの形にして、噛んだまま長めにfの音を発音し、ffaのように発音します。
例:っふぁ(子供)
“っゔぁ”であれば、下唇を間でvの音を出し、噛んだまま長めにvvaのように発音します。
例:っゔぁ(あなた)
“っそぅ”であれば、ssuのように長く発音します。
例:っそぅ (白い)
“ってぃ”であれば、tを発音するために舌先を上あごにつけ、すこし無音のまま保ったあとで、「てぃ」の発音をします。
例:ってぃー(キセル)
13.[za]、[zu]、[zi]はない
[za]、[zu]、[zi]はありませんが、[zza]、[zzu]、[zzi]はあり、これらは単語として成立します。==
例: っざ(父)
っぞぅ(魚)
っじ(もらう)
14.「ん」のあとに「っ」が来る場合もあります。
例: んっつー(お汁)