池間方言には、丁寧語、謙譲語はありませんが、尊敬語があります。動詞語幹に-amai、‐samaiを付けます。語幹の形は、否定の形から知ることができます。
たとえば「ゆん(yun)):読む」、「いふ(ifu)、いつ(icI):行く」、「かふ(kafu)、かつ(kacI):書く」は、否定形は、「ゆまん(yuman)」、「いかん(ikan)」、「かかん(kakan)」のようになります。これらから「あん(-an)」をとったもの、yum-、ik-、 kak-が語幹になります。これに-amaiを付けると尊敬の形になります。「ゆん‐ゆまい(お読みになる)」、「いつーいかまい(いらっしゃる)」、「かつ‐かかまい(お書きになる)」のようになります。あるいは、ひらがなの表記でいうと否定の形から、「ん」をとって「まい」を付ければよいことになります。
もう一つの種類は否定の形が「いん」になるものです。 たとえば、「みー(見る):みーん(見ない)」「にー(煮る):にーん(煮ない)」いでぃ
「あまい(ーamai)」をつけ、否定形がnのもの母音語幹に対しては「みーさまい」「にーさまい」のように、「さまい(samai)」をつけます。 例
1.くぬ ほぅんな んみゃ ゆまいたいな
(この 本は もう よまれましたか。)
2.くまんかい なーゆ かきーふぃーさまてぃ
(ここに 名前を かいてください)
動詞には、単独で尊敬を表す「んみゃい(いらっしゃる:行く、いる、来るの尊敬)」「んきゃぎ(召し上がる)」という動詞があります。「んみゃい」はそれだけで尊敬を表します。「んきゃぎ」はさらに「-さまい」をつけた「んきゃぎさまい」の形で尊敬を表します。 例
形容詞には尊敬語はない。名詞にも尊敬の形はない。 文法に戻る