===== 格助詞 ===== ==== 主格 ==== === 「が」「ぬ」の二つがあります。日本語共通語の「が」に当たる言い方です。「が」は、指示語、代名詞など、特定のものを指す名詞につき、「ぬ」は普通名詞につきます。名詞によってはどちらでもいい場合もあります。 === 例 == 1.えー、はいんかいや ばが いかでぃ  == (ああ、畑には 私が 行こう) {{grammar:3_hainkaiyabagaikadi.mp3|}} 音声 == 2.くいんつきゃー かいがどぅ じゃうかい == (これより あれが いいね) {{grammar:kuincIkyaakaigadu.mp3|}} 音声 == 3.あがい、あみぬどぅ っふぃってぃにゃーん == (あ、雨が 降ってきた) {{grammar:15_aminuduffittinyaa.mp3|}} 音声 === 日本語共通語と同じく、状態を表す述語の対象を表すことができます。 === == 4.ばー たくぬ なますぬどぅ ふぁうぶすかい == (おれは タコの 刺身が 食べたい) {{grammar:42_baatakununamasI.mp3|}} ==== 属格 「が」「ぬ」の二つがあります。「の」に当たる言い方です。主格と同じ形で、区別の仕方も主格と同じです。 ==== 例 == 1.うぬ さなぬどぅ ばが むぬ == (この(その) 傘が 私のです) {{grammar:7_unusananudubagamunu.mp3|}} == 2.んつぬ んなかう あいきや ならん == (道の まんなかを 歩いては いけない) {{grammar:13_ntcInunnaka.mp3|}} ==== 対格 「う」で表します。「を」に当たる言い方です。基本は「う」ですが、つく名詞の最後の音によりさまざまな形をとります。詳しくは[[:accusative|こちら]] を参照してください。 ==== 1.なうゆ かーでぃが (何を買おうか) {{grammar:74_nauyukaadiga.mp3|}} ==== 与格・位格 ==== === 「ん」で表します。 共通語の「だれだれに」「どこどこに」「いついつに」の「に」に当たる言い方です。「いん(犬)」のように「ん」で終わる名詞につくときは「いんん」とならず、「いん」となります。 === 例 == 1.はいん んーぬ いびでぃ == (畑に 芋を 植えよう) {{grammar:hainnnnuibidi.mp3|}} == 2.いちゅふぬどぅ ちゅーがくぬ しーしん ないたい == (いとこが 中学の 先生に なった){{grammar:55_icyufunudu.mp3|}} == 3.さぶろーや じろーん ばうひー なっじゅらいたい == (三郎は 次郎に 棒で 殴られた) {{grammar:62_bauhiinazzyuraitai.mp3|}} == 4.ひこーきゃー ひとぅいん ひとぅかいましか にゃーん == (飛行機は 一日に 一回しかない){{grammar:11_hikoookyaa.mp3|}} == 5.はなこー みはなぬどぅ んまん ゆー んーしゅー == (花子は 顔が 母親に よく 似ている){{grammar:77_yuunnsyuu.mp3|}} === 〇共通語の「どこどこで」の「で」に当たる場合もあります。 === == 6.よじたーひんな えきん まちうき == (4時までは 駅で 待っていなさい) {{grammar:30_yozitaahi.mp3|}} ==== 方向格 ==== === んかい 共通語の「へ」にあたる言い方ですが、「に」に近い使い方もします。 === 例 == 1.ひゃーひ いんかい いつぶすむぬ == (はやく 海に 行きたい)  {{grammar:A6_icIbusImunu.mp3|}} == 2.んみゃ みゃーくんかいどぅ いきーうい == (もう 宮古に 行っている) {{grammar:C2_mmyamyaakunkaidu.mp3|}} == 3.きーんかい ぬーらだうり == (木に 登るな) {{grammar:kiinkainuuradauri.mp3|}} == 4.んまー あちゃ っゔぁんかい いじゃいが いつがまた == (お母さんは明日お前に会いに行く) {{grammar:mmaaacyavvankai.mp3|}} === 〇「ん いきー(に 行き)」が短縮されて助詞のようになった「んきー」という言い方もあります。 === ==例 5.はいんきー んーぬ いびーくーでぃ== (畑に 行って 芋を 植えて来よう) {{grammar:hainnki.mp3|}} ====道具格==== ===ひー 共通語の「で」に当たる言い方です。短く「ひ」と発音されることもあります。=== 例 1.てぃーひー ちゅっふぁでぃ(手で作ろう) {{grammar:tiihicyuffadi.mp3|}} 2.みゃーくたーひーや ふにひどぅ いふたい(宮古までは 船で 行った) {{grammar:A3_myaakutaahii.mp3|}} ==== 共同格 ==== === とぅ 共通語の「と」に当たる言い方です。 === 例 == 1.っざとぅ ひとぅみ いきば == (お父さんと一緒に行きなさい)  {{grammar:A11_ikiba.mp3|}} == 2.どぅすとぅ あそぅび == (ともだちと遊べ)  {{grammar:dusItuasubi.mp3|}} == 3.かずことぅ はなこー どぅす == (和子と 花子は ともだちだ)  {{grammar:76_kazikotuhanakoodusI.mp3|}} ==== 出所格 ==== === から 共通語の「から」に当たる言い方です。情報源を表す意味もあり、共通語の「で」に当たります。 === 例 == 1. はなこー ん゜ぬから やみどぅ にっゔぃーうい == (花子は 昨日から 病気で 寝ている)  {{grammar:69_yamidunivvyuui.mp3|}} == 2.さきゅーぎゃー まいからどぅ ちゅっふ == (酒は 米から 作る)  {{grammar:46_sakyuugyaa.mp3|}} == 3.んまがー いつどぅ とーきょーから ふーが == (孫は東京からいつ帰るの)  {{grammar:24_mmagaaicidutokyokarafuuga.wav|}} == 4.てれびから みーたいそぅが == (テレビでみたけれど)  ==== 限界格 たーひー==== === 共通語の「どこどこまで」「いついつまで」の「まで」にあたる言い方です。 === 例 == 1.うつなーたーひー いきーくーでぃ == (沖縄まで 行って来よう)  {{grammar:B1ucInaataahiiikiikuudi.mp3|}} == 2.すとぅむてぃから ゆさらびたーひー あそぅーたい == (朝から 晩まで 遊んだ)  {{grammar:sItumutikarayusarabitaahii.mp3|}} 共通語では「彼が来るまで待とう。」のように動詞の基本形を直接「まで」につけることができますが、池間方言では、「かいが ふーきゃたーひー」のように「きゃ(時)」をつけて「彼が来るときまで」のように言わなければいけません。「かいが ふーたーひー」とは言えません。 ==== 比較 ==== === んつきゃー 「より」に当たる言い方です。格助詞とは言えないかもしれませんがここに置きます。 === より詳しくは[[comparison|こちら]]を参照。 == 例 っぞぅんつきゃー わーぬどぅ たかだいかい == (魚より 豚肉のほうが 値段が高い)  {{grammar:41_zzuncikyaatakadai.mp3|}}