====== 基本子音の発音と文字表記 ====== ==== 1.さ行音==== さ行音は、「あ」行と「い」行 /sa/、/si/は日本語共通語とほぼ同じで「さ」「し」のように発音します。/s/と/u/は「そぅ」 「そぅ」は、sの音に唇を丸めた「う」の音をつけて発音します。 \\ \\ 例:そぅー(潮) {{suu_4ch003m.wav}} まーそぅ(塩){{maasu_4ch004m.wav}} そぅでぃ(袖){{sudi_4ch004m.wav}} ====2.ざ行音==== ざ行音は、「あ」と組み合わせると、「じゃ([ʑa]」のようになり、[za]という音はありません。「い」「う」と組み合わさると「じゅ([ʑu]のように発音し、[zu]もありません。/ɨ/とだけは組み合わせが可能で、[zɨ]と発音されます。[zɨ]は「ず」と表記します。 \\ \\ 例:ずー(土地) {{zii_4ch004m.wav|}} ====3./s/と/ɨ/==== /s/と/ɨ/は、sの音に唇をひいた「う」の音をつけて発音します。ひらがなでは「す」で書いて、「そぅ」と区別します。人によってはこの音を「すぃ」と書く人もいます。その場合「そぅ」は「すぅ」と書いて区別します。 \\ \\ 例:すー(酢){{sii_4ch003m.wav}} ====4.た行音==== た行音の /t/は、/a/「あ」との組み合わせ「た」/ta/は、日本語共通語と同じように発音します。/u/と組み合わせたときは、/tu/「とぅ」と発音します。唇を丸めた「う」の音を付けて英語の前置詞のtoのように発音します。 \\ \\ 例:ひとぅ(人) {{hitu_i0112.mp3}} ====5.ti==== /t/と/i/「い」を組み合わせた/ti/は、「ち」ではなく、英語のteaのように発音します。/ti/「てぃ」と表記します。 \\ \\ 例:ひてぃつ(一つ){{hitici_i0112.wav}} \\ \\ 例:てぃー(手){{tii_4ch003m.wav}} ====6.だ行音==== だ行音の/d/は/a/と組み合わせた場合は日本語共通語の/da/「だ」とほぼ同じです。/i/「い」、/u/「う」とと組み合わせると、/di/「でぃ」、/du/「どぅ」となり、「とぅ」、「てぃ」の有声音になります。 \\ \\ 例:でぃー(杖){{dii_i0112.mp3}} \\ \\ 例:みどぅん(女){{midun_i0112.mp3}} ====7.は行音==== /h/は/a/、/i/との組み合わせは、日本語共通語/ha/「は」、/hi/「ひ」とほぼ同じ、/u/との組み合わせは、共通語と異なり英語のwhoのように上下の唇をつけずに発音する。人によっては、共通のように両唇をつけた[ɸu]で発音する人もいます。「ほぅ」のように表記します。/f/の音と区別します。 \\ 例:ほぅに(骨) {{huni_i0112.wav}} \\ 例:ほぅなん(大波、津波){{hunan_4ch004m.wav}} ====8 fの発音==== 池間方言には日本語共通語になりfの発音が存在します。これはfのように上の歯で、下の唇を噛んで発音します。/f/は/a/、/i/、/u/と組み合わされます。/fa/「ふぁ」、/fi/「ふぃ」、/fu/「ふ」と表記します。 例:ふぁうむぬ(食べ物) {{faumunu_i0112.wav}} ふー(来る) {{fuu_4ch004m.wav}} ふつ(吹く) {{fuci_4ch004m.wav}} ====9.撥音「ん」==== 「ん」は、語末に来るときは、共通語と同じ発音です。共通語と違って、語頭に立つことがあります。t,d,nの前では[n]、p,b,mの前では[m]、k,gの前では[ŋ]で発音します。 例:ばんまい[bammai](私も){{banamai_4ch004m.wav}} ばんとぅ[bantu](私と){{bantu_4ch004m.wav}} んてぃ[nti:](満ちる){{ntii_4ch004m.wav}} んみゃ[mmja](もう) {{mmya_4ch004m.wav}} んば[mba](いやだ) {{nba_4ch004m.wav}} んぎゃな[ŋgjana](苦菜) {{ngyana_4ch004m.wav}} ====10.撥音「ん゜」 「ん゜」==== 撥音「ん゜」 「ん゜」は、mのように唇をつけたり、nのように舌先を歯の後ろにつけて、声を立てずに、鼻息だけで発音します。「ん゜」のあとにmが来る場合は、mを鼻息だけで発音します。 例:   ん゜む {{hmu_4ch004m.wav}}                           「ん゜」のあとにnが来る場合は、nを鼻息だけで発音します。 例 ん゜ぬ(昨日){{hnu_4ch004m.wav}}  ん゜な(綱) {{hna_i0112.wav|}}           =====11.促音「っ」==== 促音「っ」は、子音を二つ重ねて、長めに発音するときに使います。「っ」が単語の途中にある場合は、共通語と同じ発音です。 例: まっふぁ(枕) {{maffa_4ch004m.wav}} ====12.「っ」が単語の最初にある場合==== 「っ」が単語の最初にある場合は、「っ」のあとの子音を重複し、長めに発音します。“っふぁ”であれば下唇を噛み、fの形にして、噛んだまま長めにfの音を発音し、ffaのように発音します。 例:っふぁ(子供) {{ffa_4ch004m.wav}} “っゔぁ”であれば、下唇を間でvの音を出し、噛んだまま長めにvvaのように発音します。 例:っゔぁ(あなた){{vva_4ch004m.wav}} “っそぅ”であれば、ssuのように長く発音します。 例:っそぅ (白い){{ssu_4ch003m.wav}} “ってぃ”であれば、tを発音するために舌先を上あごにつけ、すこし無音のまま保ったあとで、「てぃ」の発音をします。 例:ってぃー(キセル) {{ttii_4ch004m.wav}} ====13.[za]、[zu]、[zi]はない==== [za]、[zu]、[zi]はありませんが、[zza]、[zzu]、[zzi]はあり、これらは単語として成立します。== 例: っざ(父)  {{zza_i0112.wav}} っぞぅ(魚) {{zzu_i0112.wav}} っじ(もらう)  ====14.「ん」のあとに「っ」が来る場合もあります。===== 例: んっつー(お汁){{nccII_4ch004m.wav}} ====15.長音「ー」==== 長音は、「ー」で表記します。「ん」にも長音があります。  例: んー(芋) {{nn_i0112.mp3}} んーでぃ、はいんかい(うん、畑に){{nndihainkai_4ch004m.wav}} [[study:sketch:pronunciation:start|発音と文字表記に戻る]]